2010年1月25日(月)

 名護市長選で、辺野古への基地移設反対派の稲嶺氏が当選。沖縄ではこの10年ぐらい、知事選を始めさまざまな首長選挙で、自民党系の「振興策と引き替えに基地容認」の候補が当選することが多かった。基地があって構わないというのが沖縄の民意だとはとても思えなかったが、苦渋の決断であれ、住民が自らそのような選択をするのならそれは仕方がない、と感じたりもしてきた。
 だが、やはり、その選択は過酷な現実にさらされた住民たちが消耗し、疲れきり、半ば諦めるような気持ちで行われたものだった、ということが、今度の名護市長選の結果、見えてきた。密室の取り調べ室で「おまえがやったんだろ?」と延々と言われ続けているうちに、「はい、やりました」と答えたほうが楽になるんじゃないかと思い始めて、とうとう「やりました」と言ってしまうようなものである。八つ場ダムも同じ構図だっただろう。それは、住民が自らの意思で選んだ結果だとはとうてい言えない。
 鳩山政権は、「振興策と引き替えに」という呪縛を取り除いた。そのとたん、沖縄じゅうがそれまで見ないようにしていた自分たちの意思を、見つめ始めた。そしてそれを表明している。
 政権交代が行われたことの最大のメリットは、これまで自民党政権下で、あたりまえだ、普通のことだ、と思われていたことが、じつはあたりまえでも普通でもなく、誰かが自分たちの利益のためにそうしてきただけだったと判明したことだろう。あまりに長い間、自民党政権というその現実が続いてきたせいで、有権者にも政治家にも、その現実の異様な部分が見えなくなっていたのだ。一種の洗脳と言える。どの党に交代するのであれ、政権が変われば、その洗脳が解けるわけである。
 沖縄の基地問題は、戦後60数年、疑うことを許されなかった現実である。60数年掛けて、沖縄の地にべったりと固着してしまった。それを引きはがそうというのだから、地震が起きるぐらいの揺れはあるだろう。どんな政権が手がけても、簡単にうまく行くような話ではない。だからといって、それまでの話を自動的に進めることはもう限界だった。現状の迷走はある程度必要な過程だと思う。
 鳩山政権の問題は、沖縄基地問題の呪縛を解いたことにあるのではなく、その解決策を何ら検討しないまま、いきなり呪縛を解いたことにある。つまり、基地を県外に移設するのか、だとしたらどこに移すのか、あるいは国内の米軍基地全体を縮小したいのか、では日米安保をどう捉え直すのか、といった、当然予想されうる根源的な課題をさして検討もせずに、呪縛を解いた。その結果、現状が固着されるとしたら、結局、沖縄の住民に諦念を再び強いることになりかねない。
 が、もう動き出した以上、できるだけ根本から解決する道を探るしかない。泥縄式に仮の措置を連発するのは、最悪である。
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by hoshinotjp | 2010-01-25 23:09 | 政治