2010年11月10日(水)

A「おおい、ついに殺人犯を捕まえたぞ」
一同「本当か!」
A「ほら見ろ、間違いない。目撃証言とそっくり同じだ」
一同「ほんとだ。確かにこいつが犯人だ。さらし者にしてやろう!」
B「まずは裁きにかけないとまずいでしょう」
A「何言ってるんだ。裁きの手に渡ったら、証拠不十分で刑が軽くなる可能性が高いんだぞ。だから裁きの手に渡る前にと、俺が必死で捕まえたんじゃないか」
一同「そうだ。裁きは信用できない。能力が足りてない」
B「確かに能力は足りてないけど、うちら自分たちで決めたルールだろ。私刑は禁止、何人も裁きにかけられるべしって。裁きの連中だって、うちらが選んだんだし」
A「だから無能だったんだよ。もうお役ご免なんだよ。さもないと、こんな危ない連中がのさばって、俺らがやられちまう。自分がやられちまうって時に、おまえはルールを優先するのか? だから優等生は嫌なんだ。いつも誰かに何とかしてもらおうと思ってやがる」
B「誰か、じゃないよ。自分たちで決めたルールは、自分の責任だろ。お役ご免なら、ルールに従ってお役ご免にすればいいじゃないか。そういうルールも作ったじゃないか」
A「そんな悠長なこと言ってられないんだよ。緊急事態なんだ」
B「緊急じゃないよ。もう身柄確保したんだから」
A「おい、みんなはこいつをどうしたい? Bの言うように裁きにかけるか?」
一同「冗談じゃない! 無罪放免だってしかねない連中だ。われわれの手で裁こう!」
A「世のため、人のため、俺たちで裁いていいか!」
一同「おう! 目にもの見せてやろうじゃないか」
A「俺はこいつを死刑に処すべきだと思うが、みんなはどう思うか?」
一同「死刑だ!」
一同「それも公開処刑だ!」
一同「われわれの恐ろしさを見せつけてやる!」
一同「われわれをなめるとどうなるか、思い知らせてやる!」
A「俺たちこそが、ルールだ!」
一同「そうだ、われわれこそがルールだ」
A「いつまでもいいようにされてたまるか!」
一同「われわれの声を聞け!」
一同「Aこそがわれわれの声を代弁している!」
A「俺はみんなの良心に従ったまでだ」
一同「Aについて行くぞ!」
一同「おお! Aについてくぞ!」

 日本は文民統制の国である。議院内閣制を取っている。たとえ、その政権が無能でも、選挙で公正に選ばれた以上、政権に対して、有権者も責任を負っている。政権が無意味だと感じて替えたければ、しかるべき手続きを経る必要がある。
 それをせずに、重要な政策を、政権も議会も無視して勝手に決めて遂行するのは、軍部が内閣を無視して勝手に事変を起こして侵略する行為と等しい。それを正しいと決めるのは有権者であり、その意思表示と権力行使は最終的には選挙を経る以外の方法はない。これは法治国家として、最低限にして最後の歯止めである。
 暴走する軍部を英雄視すれば、首が絞まるのは自分たちである。
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by hoshinotjp | 2010-11-10 23:43 | 政治