2010年11月17日(水)

 柳田法務大臣の、聞いた自分が愚かにさえ感じられるほど馬鹿げた発言。あのような発言が生まれる背景を考えるに、「ウケを狙いたい」というメンタリティが異常なまでに肥大した社会であることが関係しているような気がする。
 ウケを狙うと言っても、何でも笑いに変えてしまう芸人の精神を指しているのではなく、象徴的に言えば、「1980年代的なメンタリティ」となろうか。笑いを取れる者は「ネアカ」とされてもてはやされ、その笑いを共有する・しないで線引きが行われ、笑いを取れない者・笑いを共有できない者は「ネクラ」とされる風土である。
 じつはこれは、小学校や中学校の教員と生徒の間で、非常にわかりやすく機能している。「セクハラさいころ」事件だとか、特定の生徒をいじめ的にからかうような教師の言動や、非常識な例を試験問題にするなどといった事例が相次いでいるのも、この風土の力ではないかと私は思う。それ以前には予備校のカリスマ講師にこのタイプがゴロゴロしていた。つまり、聴衆のウケを取ることで、その集団からもてはやされたいのだ。
 集団の中で笑いを共有できないという事態は、その人に恐怖をもたらす。マイナスの意味で目立つため、いじめ的な目線の対象になりやすいからだ。だから、たいていは無理して笑う。そしてその次の段階として、同調して受け入れられるために、心にもない冗談を放言したりする。「笑いを取れる者」というレッテルは、たんに集団内の人気者というだけではなく、日本社会では社会的地位にまで関係してくる決定的な評価基準なのだ。
 この態度が身に染みついてしまった結果が、「セクハラさいころ」であり、「法務大臣は二つの形式的で無内容な答弁だけしていれば済むという楽な仕事」という「ジョーク」(のつもりだろう本人は)なのではないか。それが大臣の職務にある者(しかも法務!)の口から出るのだから、いじめなどなくなるどころか、苛烈になる一方なのは当然である。
[PR]
by hoshinotjp | 2010-11-17 23:17 | 社会