2007年 03月 10日
2007年3月10日(土) |
女子サッカー日本代表(なでしこ)、ワールドカップ出場をかけてプレーオフの対メキシコ戦が行われる。4年前も同じ対決でワールドカップ出場を決めたという、因縁の対決だ。
やっぱり澤だった。1得点1アシスト。でもその数字上の結果以上に、澤がこの試合をサッカーたらしめていた。
日本の男子サッカーにおいて中田英寿だけが別格であったように、澤が日本の女子サッカーでは一人だけ別のステージにいることを、改めて見せつけられた。
中田も澤も、見えている世界が違う気がする。サッカーとはあの広さの空間を22人で占めて行う運動だ、ということが、感覚として理解されているのだと思う。その意識とセンスの高さにおいて、この2人は他の選手とは別格なのだ。
あとは、プロ意識の高さだろう。世界における標準、つまりあたりまえの部分がどこにあるかをよく知っている。それは高いプロ意識を持ったうえで、海外での体験を吸収しているからだと思う。
それらの観点からすると、日本サッカー界は、まだ内輪意識の強い、半アマチュアみたいな選手が大半を占める。ジーコジャパンで中核をなしていた、なれ合いを何よりも大事にする連中とか。若手でも、中田や澤などよりずっとうまいと感じる選手はたくさんいるけれど、テクニックだけなら、小野がかつてフェイエノールトの監督に注意されたように、サーカスをやっていればいい。ただ海外へ移籍しても、内輪意識が巣くっている限り、平山相太のようになるのがオチだ。こういう状態は少しもよくない。
メキシコ戦に話を戻すと、メキシコは決して強くなく、実力差は4年前と変わらない気がした。日本の選手は、私も知らない若手が増えて、技術、スピードは上がっている。けれど、サッカーの質が向上したかと言われると、考えてしまう。いつでも落ち着いた判断ができるチームなのか、心もとない。
澤が得点を決めるまで、試合はもたついていた。アウェイゴールとなる失点を恐れたせいか、積極的に攻めに出ない。バックラインでボールを回し、前線に放り込むと行った退屈なプレーが繰り返される。放り込まれたボールを下がり目のフォワードの荒川が体を張って受け、キープし、澤に落とす。(ポストとなったときの荒川の体の使い方のうまいこと! 足もとの切れといい、覇気といい、澤井と荒川だけが序盤は奮闘して見えた)。しかし、そこまで。澤がボール持ってからようやく他の選手が走りだすので、澤は前にパスを出せない。メキシコも余裕を持って守備ができる。
そのように選手が動かないので、パスを回そうとしても途中で奪われる。たまに前線までボールが渡って荒川なり宮間なり近賀なりがゴール前にクロスを上げても、ゴール前に人がいない。
先制点のシーンは、左からサイドバックの宇都木がオーバーラップし、クロスを上げた。そのときは、ゴール前に荒川と澤がいて、エリア付近に宮間もいた。人数がいたから、澤はマークをわずかに外し、正確にヘッドを撃てた。
緊張が取れてからは、チャンスをいくつも作り出した。特に後半、宮本を外して酒井(日本女子サッカー界のマケレレ)のワンボランチにし、投入された柳田が攻めを担うようになってからは、バランスがとてもよくなった。メキシコディフェンダーのがたいがいいので、トップは大野より永里のほうが効いていた。正直なところ、この試合は内容的に3点取らねばいけなかった。
来週の第2戦はメキシコのホームである。2000メートルの高地なので、日本にはミスが多く出るだろう。そのミスが点に結びつくかが鍵となるのではないか。今日の試合でもメキシコは日本のミスを突いて、決定的となりそうな場面を2度作った。1度はキーパーの好セーブで、2度目はバーを叩いて救われた。ミスをしなければ、勝てる。その点で心配なのは、右サイドバックの近賀。オーバーラップでの攻撃参加が信条で、スピードはあるのだけど、守備でのボールの処理には大変不安がある。クリヤボールを相手選手に渡したり、その場で高く上がるハイボールにしてしまったり、足技でかわそうとして二人三人に詰め寄られ自陣深くでボールを奪われたりしていた。ダブルボランチにしていたときは、酒井がここを補助的にケアしていたが、後半、ワンボランチにしてからは近賀一人でこのエリアを受け持つことになり、ミスが目立ち始めた。アウェイにおいて、右サイドからの攻めと守備との兼ね合いを、大橋監督がどう考えるか。守備的にしすぎるとバランスが崩れ、今日の後半の入りみたいに後手に回るし。
観衆は、1万人ほどだった4年前よりさらに数千人増えたようだが、前回、少数ながらその応援の愉快さで日本側を圧倒していたメキシコの応援団は、今回は30人ぐらいしかおらず、寂しい限りだった。私は日本を応援しつつも、メキシコのカラーである緑のセーターを着て、心情的にメキシコにも荷担した。すぐ近くに、メキシコの人気クラブチーム「PUMAS」の紺のトレーナーを着て、一人静かに観戦している日本人の若い男がいて、けなげだと思った。
やっぱり澤だった。1得点1アシスト。でもその数字上の結果以上に、澤がこの試合をサッカーたらしめていた。
日本の男子サッカーにおいて中田英寿だけが別格であったように、澤が日本の女子サッカーでは一人だけ別のステージにいることを、改めて見せつけられた。
中田も澤も、見えている世界が違う気がする。サッカーとはあの広さの空間を22人で占めて行う運動だ、ということが、感覚として理解されているのだと思う。その意識とセンスの高さにおいて、この2人は他の選手とは別格なのだ。
あとは、プロ意識の高さだろう。世界における標準、つまりあたりまえの部分がどこにあるかをよく知っている。それは高いプロ意識を持ったうえで、海外での体験を吸収しているからだと思う。
それらの観点からすると、日本サッカー界は、まだ内輪意識の強い、半アマチュアみたいな選手が大半を占める。ジーコジャパンで中核をなしていた、なれ合いを何よりも大事にする連中とか。若手でも、中田や澤などよりずっとうまいと感じる選手はたくさんいるけれど、テクニックだけなら、小野がかつてフェイエノールトの監督に注意されたように、サーカスをやっていればいい。ただ海外へ移籍しても、内輪意識が巣くっている限り、平山相太のようになるのがオチだ。こういう状態は少しもよくない。
メキシコ戦に話を戻すと、メキシコは決して強くなく、実力差は4年前と変わらない気がした。日本の選手は、私も知らない若手が増えて、技術、スピードは上がっている。けれど、サッカーの質が向上したかと言われると、考えてしまう。いつでも落ち着いた判断ができるチームなのか、心もとない。
澤が得点を決めるまで、試合はもたついていた。アウェイゴールとなる失点を恐れたせいか、積極的に攻めに出ない。バックラインでボールを回し、前線に放り込むと行った退屈なプレーが繰り返される。放り込まれたボールを下がり目のフォワードの荒川が体を張って受け、キープし、澤に落とす。(ポストとなったときの荒川の体の使い方のうまいこと! 足もとの切れといい、覇気といい、澤井と荒川だけが序盤は奮闘して見えた)。しかし、そこまで。澤がボール持ってからようやく他の選手が走りだすので、澤は前にパスを出せない。メキシコも余裕を持って守備ができる。
そのように選手が動かないので、パスを回そうとしても途中で奪われる。たまに前線までボールが渡って荒川なり宮間なり近賀なりがゴール前にクロスを上げても、ゴール前に人がいない。
先制点のシーンは、左からサイドバックの宇都木がオーバーラップし、クロスを上げた。そのときは、ゴール前に荒川と澤がいて、エリア付近に宮間もいた。人数がいたから、澤はマークをわずかに外し、正確にヘッドを撃てた。
緊張が取れてからは、チャンスをいくつも作り出した。特に後半、宮本を外して酒井(日本女子サッカー界のマケレレ)のワンボランチにし、投入された柳田が攻めを担うようになってからは、バランスがとてもよくなった。メキシコディフェンダーのがたいがいいので、トップは大野より永里のほうが効いていた。正直なところ、この試合は内容的に3点取らねばいけなかった。
来週の第2戦はメキシコのホームである。2000メートルの高地なので、日本にはミスが多く出るだろう。そのミスが点に結びつくかが鍵となるのではないか。今日の試合でもメキシコは日本のミスを突いて、決定的となりそうな場面を2度作った。1度はキーパーの好セーブで、2度目はバーを叩いて救われた。ミスをしなければ、勝てる。その点で心配なのは、右サイドバックの近賀。オーバーラップでの攻撃参加が信条で、スピードはあるのだけど、守備でのボールの処理には大変不安がある。クリヤボールを相手選手に渡したり、その場で高く上がるハイボールにしてしまったり、足技でかわそうとして二人三人に詰め寄られ自陣深くでボールを奪われたりしていた。ダブルボランチにしていたときは、酒井がここを補助的にケアしていたが、後半、ワンボランチにしてからは近賀一人でこのエリアを受け持つことになり、ミスが目立ち始めた。アウェイにおいて、右サイドからの攻めと守備との兼ね合いを、大橋監督がどう考えるか。守備的にしすぎるとバランスが崩れ、今日の後半の入りみたいに後手に回るし。
観衆は、1万人ほどだった4年前よりさらに数千人増えたようだが、前回、少数ながらその応援の愉快さで日本側を圧倒していたメキシコの応援団は、今回は30人ぐらいしかおらず、寂しい限りだった。私は日本を応援しつつも、メキシコのカラーである緑のセーターを着て、心情的にメキシコにも荷担した。すぐ近くに、メキシコの人気クラブチーム「PUMAS」の紺のトレーナーを着て、一人静かに観戦している日本人の若い男がいて、けなげだと思った。
by hoshinotjp
| 2007-03-10 23:09
| サッカー・スポーツ