2008年4月3日(木)

 企業が、総会屋に株主総会を荒らされるのを恐れてカネを払ったり、暴力団関係者を接待したり治安維持費を払ったり、右翼の発行する業界誌を法外な額で講読したりすれば、企業のモラルが問われるだろう。住民を脅かす暴力に結果的に荷担したことになるからだ。また、かつてTBSが、オウム真理教を取材したビデオテープを、オウム真理教の要求により放送前に手渡して見せるという事件もあった。このときも、企業そして公共のメディアとしてのモラルが大いに問われた。
 ドキュメンタリー映画『靖国YASUKUNI』に関して起こっているのは、それと同じようなことだ。国会議員には強大な権力が与えられており、それは法的には暴力団の力をしのぐ。そして、権力とは究極的には暴力である。そのような力を持つ国会議員が、自由に作られたはずの映画を公開前に見せるよう要求し、特権的にコメントする。これは、暴力団員が威嚇的に企業を訪ねたり、オウム真理教が事前にビデオを見せるよう要求したりするのと、何ら変わらない行為である。そして、上映を中止した映画館の経営側は、暴力団にカネを払ったり、TBSが事前にビデオを見せたりしたのと、同じ対応法を取ったことになる。
 何とも薄汚いやり方だと感じる。もし、中国に批判的である人たちが、中国籍の映画監督が日本政府の助成金で靖国のドキュメンタリーを撮るなんてけしからんと思うなら、この映画が公開されることを支持するべきである。都合の悪い出来事は報道もさせない中国政府と同じような態度を支持するべきではない。公開させない圧力を掛けたがっているのであれば、その者たちは中国政府と似た者同士となるだろう。そっくりだから憎むのかもしれない。
 そんな中で大阪の第七藝術劇場が、この作品の公開を決めた。おお、あの第七藝術劇場。行ったこともないけど、よく知っている。『永遠のハバナ』『低開発の記憶』といった、すぐれたキューバ映画を公開した映画館だからだ。さすが第七藝術劇場。
 ちなみに、これらの作品を配給しているアクション・インクの比嘉さんが、今またすばらしい映画を公開しようとしている。アルゼンチンの『今夜、列車は走る』。東京では来週12日からなのだが、詳しくはまた今度。
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by hoshinotjp | 2008-04-03 23:11 | 社会