2008年7月25日(金)

「コロンビアの良心」
 反政府ゲリラに拘束されていたコロンビアの政治家イングリッド・ベタンクールが先週、軍による劇的な無血救出劇によって、突然、解放された。世の中から希望がついえるような出来事ばかりなので、このニュースは本当に嬉しい。
 彼女がコロンビア革命軍(FARC)によって誘拐されたのは、二〇〇二年、大統領選の最中だった。以後、逃げ出さないよう三年にわたって首輪でつながれるなど、数々の虐待を受けたという。
 六年以上、恐怖を強いられたにもかかわらず、戻ってきたベタンクールは、拘束される前の毅然としたベタンクールそのままだった。報道によると、FARCのやり方を厳しく断罪しながら、「武器を捨てて、ベネズエラのチャベス大統領のように合法的に世を変えることを考えろ」と促し、また自分を救出した「テロとの戦い」推進派のウリベ大統領を評価しつつ、「過剰に憎しみをあおる物言いはそろそろ変えるべきだ」と語る。
 私はベタンクールのこんな姿勢に、いつも勇気づけられてきた。徹底して筋を通し、妥協せず、諦めない。麻薬組織と結びついた腐敗政治を一掃するという信念のもと、大統領を始めさまざまな政治家の不正を容赦なく暴いていく。その様子は、誘拐される前に書かれた自伝『それでも私は腐敗と闘う』(草思社)に詳しい。
 絶対に口をつぐまない。見て見ぬふりをしない。その態度を示し続けるだけで、どれだけ大きな希望をコロンビアの人々に与えたことか。同じ態度は、日本でも応用可能だと私は思っている。
(東京新聞 2008年7月11日付夕刊1面「放射線」より)

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by hoshinotjp | 2008-07-25 23:51 | 政治