2008年8月1日(金)

   ◆エコはどこへ?◆
「とにかくエコネタはないか、って上司がうるさいんだよね。この期間、エコ番組を放映しない日はないからね」
 テレビ番組を作っている友人がこうぼやいていたのは、二週間ほど前。だが、今はもうそんな要求もすっかり消えたという。なぜなら、洞爺湖サミットが終わったからだ。
 テレビだけではない。サミット開催に至るまでは、映像・活字と媒体を選ばず、いたるところから「エコ、エコ」の大合唱が響いてきた。
 環境問題への啓蒙それ自体は悪いことではない。私自身は昔から、ゴミの捨て方に厳しくて周囲から煙たがられる環境原理主義者だから、普段なら歓迎しただろう。でも、このたびの盛りあげ方には、違和感を覚えた。理由は二つ。
 まず、政府が主催するサミットに合わせ、大手メディアが足並みをそろえて、ちまたの関心を温暖化問題へと誘導するさまは、さながら政府の広報機関のようだった。一方で政府のサミット戦略を批判しつつも、サミットをわかりやすいイメージで報道しようとするあまり、安易に「エコ特集」を連発し、「環境サミットを成功させた」と印象づけたい政府の路線に、結果的に乗ってしまったのだ。
 世間のマジョリティも、環境問題を軽い祭りのように受けとめ、「自分も参加している」という気分を味わって満足したように見受けられた。終わってしまえばその祭りは過去のこと、次の熱狂を欲するのが、今の社会だ。
 メディアには、そんな熱狂を冷ます存在であってほしいものである。
(東京新聞 2008年7月18日付夕刊1面「放射線」より)

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by hoshinotjp | 2008-08-01 11:52 | 政治