2008年8月6日(水)

     ◆子どもをカモにする性とカネ◆
 中学二年生の男子生徒がバスジャックを起こした事件。現時点での報道によると、意中の女子に交際を迫り、「十万円くれたらつきあってあげる」と言われて、周囲の生徒たちから十万円を借りようとし、トラブルに発展したらしい。
 性とカネ。動機を即断するのは避けなければならないが、古いようで新しいこの要因が、十四歳の少年に事件を起こさせたとすると、とても寒々しい気持ちになる。
 今の社会で男が起こす事件のうち、「性とカネ」のからんだ事件がどれほど多いことか。私の目には、秋葉原の無差別殺人を起こした加藤容疑者が、「彼女がいない非モテ」である自分に絶望したことと、十万円を払ってでも好きな女子とつき合いたいと少年が欲望することとが、表裏として映る。
 私はこれもグローバル化の結果だと思う。経済の自由化にともない、「性と恋愛」も自由化された。さまざまなパターンの恋愛が商品として売り出され、世界中の「持てる者」たちはこぞって、高級ブランド化した恋愛を買い求めようとする。その恋愛市場からあぶれた「モテない男」たちは、「性」をカネでやりとりする(買春・盗撮……)。さらにそこにも参加できない「持たざる者」たちは、惨めな敗残者として恨みをつのらせていく。ファストフード産業が人々の食欲を飽くなき消費へとエスカレートさせたように、性欲も経済の奴隷となっているのだ。
 このような市場の暴力が、十四歳の男子にまで及んだ結果が、この事件かもしれない。
(東京新聞 2008年7月25日付夕刊1面「放射線」より)

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by hoshinotjp | 2008-08-06 23:33 | 社会