カテゴリ:政治( 74 )

 民主党の代表選びで、鳩山由紀夫優勢との報道を見て唖然。民主党はKYなのか? 小沢一郎では総選挙に勝てないとなったら刺し違えてでも辞任を説得すると言っていた鳩山幹事長は、今度の小沢代表辞任で自らも幹事長を辞めたのであり、その人が代表選に出馬するのはどうにも筋が通らない。小沢一郎との密約説をささやかれても仕方あるまい。わざわざ「小沢院政」とのきわめて汚れたイメージを引き寄せるぐらいなら、小沢代表が辞任しないほうがまだましだった。
 加えて、安倍、福田、麻生と、世襲政治家の中でも図抜けて「名門」の出の政治家が、まったくちまたを理解しない政治を続けざまに行ったことに、世はうんざりしきっている。ここでまた鳩山一族という「名門」の出の政治家が首相になることを望む人が、どれだけいるというのだろう。この人は弟の邦夫に対してとても甘い。結局、ちまたの人よりも鳩山一族の栄光のほうが大切であることは、民主党結党の経緯を思い出せばわかることだ。それに、鳩山由紀夫が最初に党首を務めたときの、無力だったこと。オバマではないが、ちまたは信頼するに値する確かな言葉と行動を、政治家に求めている。鳩山由紀夫の言葉は、今の首相よりはずっとましだけど、ちまたに力と信頼を与えてくれるようなものではない。
 西松問題が出た直後、民主党の各県連に次の代表として望ましい人は、というアンケートをどこかの報道機関が行っていた。その調査では、岡田克哉が支持の半分近くを占めていた。きょうの各メディアの緊急世論調査でも、同様の結果を示している。民主党にとってこの好機を十全に生かし政権交代を実現するには、岡田という選択肢以外あり得ないと思うのだが。私は民主党を支持していないけれど、それでも勝つべきだと思うのは、そうでないと麻生政権がこのままずっと続くことになるからだ。すなわち、私たちは政治的空白(政治的無策)をあと何年も生きなければならないのだ。その「無政府状態」のツケは、有権者が議会制民主主義に愛想を尽かして行動力のある独裁的カリスマのほうを望むといった、取り返しのつかない形で日本の住民に災いをもたらすだろう。
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by hoshinotjp | 2009-05-13 23:12 | 政治
 民主党、小沢代表辞意表明のニュース、サッカーの岡田ジャパンの試合を見た後のように、何も感想なし。
 ここに来てようやく、購読している東京新聞では、インフルエンザ禍熱対応、過熱報道について検証するような記事が登場している。そもそも、私が報道は状況を冷静に判断できていないんじゃないかと思ったのは、WHOがフェーズ4に引き上げたとき、少なくとも二週間分の水と食料を備蓄するように呼びかけた社会面の記事に反応し、慌ててスーパーに買いに走ったことがきっかけだった。そのときは、まるでオイルショック時のように買い物に殺到する群衆のイメージが浮かび焦ったのだが、スーパーに着いてみれば人は普通に買い物をし、焦っているのは私一人だった。私も、納豆やらバナナやらを買いに走った人のことを言えないと思い、冷静さを失った自分を恥じた。そして、状況も無視して、強毒性の鳥インフルエンザ流行を想定したであろうマニュアル通りに、緊急事態に備えるよう呼びかける記事を出した新聞に、疑問を感じたのだ。要するに、頭で考えてはおらず、「すわ、パンデミックだ」とばかりに自動的に反応し続けたのではないかと。
「エピデミック」と同語源であろうこの「パンデミック」という言葉も、次第に姿を消してきている。学術的な意味内容とは別に、その字面や響きが「パニック」だとか「アポカリプス」といった強い言葉を連想させる「パンデミック」は、この字が見出しに来るだけで、読者の恐怖感をあおる役割を果たす。「呪怨2」などパニック・ホラー映画で使われたイメージもあるだろう。この文字が持つイメージをわきまえて使うのも、活字報道メディアのリテラシーなのではないか?
「普通に心配を」という最近の記事で識者が指摘していたのだが、日本社会は、過剰反応するか無関心になるかの両極端で、その中間の対応をとることが少ないという。
 もっとも、備蓄用食料・水を買うにあたり、被災時用リュックを中身を調べたところ、どの食品も水も消費期限が切れ、ウェットティッシュは干からびており、もう5年以上も放置されていたことが判明したので、ちょうどよい機会ではあったのだが。
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by hoshinotjp | 2009-05-12 12:42 | 政治
 15兆円規模の補正予算という数字に、背筋の凍るような気がする。今週の始めに10兆円の補正予算と言っていたのが、週末には15兆円と、5兆円も膨れあがった。なぜ数日で5兆円も増えるのか。この景気対策が、2兆円の給付金と同じ、あとさき考えない付け焼き刃だからではないか。しっかりしたビジョンがあったら、たった5日程度で5兆円増えるという事態は起こらないはずだ。トヨタのおととしの利益が1兆円という空前の数字だった。15兆円がいかにとんでもない数字であることか。しかも補正予算で。2兆円ばらまいて、感覚が麻痺しているのではないか、と思いたくなる。
 ほぼすべて借金である。これで、正規予算と合わせ、2009年度の収入の半分以上が借金になるという。年収800万円のうち400万円以上が借金だったら、どうなるだろうか。しかもその人にはすでに1億2千万円の借金が溜まっているのである。
 当然、この借金は国民の借金であり、結局は国民が返すことになる。つまり、税金で払っていくわけだ。もし今、すべての決済を迫られたら、国民はほぼすべての貯金を没収されることになる。
 財政出動がある程度必要なのは仕方がないが、まるで成金の無駄遣いみたいに思いつきで空前の額の予算を組まれるのは、とても怖い。
 経済にせよ、社会福祉にせよ、外交にせよ、どれをとってもその場のなりゆきで政策が決まっていくかのようで、こんな運転手のいない暴走列車に乗っていて命は助かるのか、と不安に駆られる。日本は、外部からの脅威より、内部の崩壊のほうを深刻に捉えるべきなのではないか。為政者が外部へ国民の注意をそらすときは、まず間違いなく内部の危機を隠していると言ってよい。
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by hoshinotjp | 2009-04-11 16:48 | 政治
 北朝鮮のミサイル発射について、こんな記事を読み、共感した。
「北朝鮮ミサイル迎撃騒ぎの裏に防衛利権あり!?」
 これで政権の支持率が上がるのだから、じつに騙し甲斐のある国民であろう。まともな政治家を欲するのなら、有権者自らが騙されない目を持つほかない。
 なお、北朝鮮ミサイル発射をめぐる日本社会の反応については、8日付の東京中日新聞夕刊に私のエッセイが掲載される予定である。
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by hoshinotjp | 2009-04-06 23:11 | 政治
 民主党・小沢一郎代表の秘書が逮捕された。詳細はわからないが、このタイミング(給付金案の再可決、総選挙間近)での逮捕には、素人の私でさえ政治臭をぷんぷん嗅ぐことができる。これは、与党主導による国策捜査的なニュアンスがかなり強いのではないか。自民党はかつてもこの手法で、飛ぶ鳥を落とす勢いだった社民党の辻元清美代議士を叩き落とした、と私は思っている。
 ただ、小沢一郎氏は首相としてはどうなのか、私は疑問に思ってきた。健康問題もあるし、突然キレて放り出す癖もあるし、どうもイエスマンに囲まれすぎて外が見えていないようなところがあるし。自民党に代わる党が民主党であるなら、このタイミングで党首が交代するのも悪くはないのかもしれない。私は岡田元代表の復帰が望ましく思う。スタンドプレー好きの前原氏はいやだ。

 ところで、このところの鳩山邦夫人気には首を傾げざるを得ない。確かに、かんぽの宿をめぐる問題への態度は正しいと思う。中央郵便局の建物の存否も、何でも壊して再開発という、新自由主義的な発想はもう破綻しているのだから、考え直すのもありだろう。
 ただ、一連の鳩山邦夫総務大臣の言動を見ていると、はっきりした傾向があって、それは、民営化された郵政をできるだけ旧に復そう、という態度である。さらに言えば、世の中を小泉改革以前の姿に戻す、という指向である。それは、小泉改革がおかしかったからではなく、鳩山邦夫氏にとっては、代々鳩山家が作り上げてきた古きよき自民党政治を小泉氏が破壊したからであって、要するに、祖父ちゃん曾祖父ちゃん父ちゃんそれに俺たちが作ってきた現体制の世の中に一本たりとも指を触れることはまかりならん、と言っているようにすら私には思えるのである。だから、官僚政治が大好きで、公務員は大事な友だちで、同じ指向の麻生首相や福田前首相と仲がよい。
 小泉改革とは、古い既得権益層をぶっ壊し、新しい既得権益層に利権を引き渡す政治だった。それで、古い既得権益層の代表のような麻生首相や鳩山邦夫大臣が、小泉体制の破綻した今、揺り戻しを官僚と一緒になって行っているわけである。私から見ればどっちもどっちである。いずれにしても、利権が世の一般の人々に還元されることはない。だが、特に今、政治に求められているのは、集中した利権の再分配ではないのか? 麻生首相と大して変わらない鳩山邦夫氏のような人間の唱える世は、下々は名門に黙ってついてこればよいのだという、究極の身分社会でしかない。
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by hoshinotjp | 2009-03-03 23:30 | 政治
 大学で教えていたころ、「マイナー性を考える」という授業を持っていた。そのときに考えたマイナー性とは何か?
 まず、単なる少数派は、マイナーとは呼ばない。40人のクラスの中で、輪島を好きな人が30人、北の湖を好きな人が10人だったとして、北の湖好きをマイナーとは呼ばない。北の湖好きであるがゆえに、成績を低くつけられたり、クラスで無視されたりした場合に、「北の湖好きはマイナー」となる。つまり、メジャーの側から少数派が暴力や抑圧、差別などを受けた場合に、マイナーとメジャーの関係が発生する。マイナーとは、単なる数の問題ではなく、力関係の強弱の問題なのである。
 そして、ここが重要なのだが、メジャーの側は自分たちを普通(標準)の存在だと思っているので、自分たちの行為が暴力や抑圧であることを認識できない。標準的な給与をもらっている正社員には、非正規雇用の人間が、「努力をしていない人間」にしか見えなかったりする。確かに苦しい立場なのはわかるけれど、俺だってこき使われて残業で睡眠時間削って、それをどうにか乗り越えているのに、かれらはあんな覇気がないんじゃ、正社員の座をつかむのも難しいだろう、と、そんなふうに見えたりする。だから、自分でもっとがんばるのが先だろうと、傍観してしまったりする。家や貯金や健康保険があるからこそ、睡眠時間を削ってがんばることができるのだという条件の差を、忘れることができる。なぜなら、自分たちが普通で標準だと思っているからだ。何によって自分たちは「普通」や「標準」でいられるのか、その自分の恵まれた状況を、いちいち考えてみないでも生きていられる、それが「メジャー」の立場にいる側の特徴だ。
 マイナーな立場に置かれた人間は、自分が「劣った」側にいることを常に意識させられる。カネもない家もない健保もないことを、24時間ずっと考えることを余儀なくされる。そうしたくなくても、マイナーな立場は自分が「標準」の側にいないことを意識しなくては生きていけないのだ。
 麻生首相は、メジャーな立場の人間の典型である。なぜああも官僚の言いなりなのか、社会のルールを知らない人間であるかのような失言を繰り返せるのか。それは、自分こそが究極の「標準」だと思っているからだ。自分を成り立たせている条件は何であるかを考えてみる、といった経験がほとんどないのだろう。だから、「庶民」のこともわからないし、「庶民」からも一段低く見られる、非正規雇用を始めとする格差の下の層に置かれている人々のことも、理解できるはずがないというわけだ。
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by hoshinotjp | 2009-02-09 20:31 | 政治
 アメリカのオバマ大統領が、妊娠中絶への援助、グアンタナモ基地閉鎖の準備、ロビイストの政府スタッフ入り禁止、温暖化対策など、矢継ぎ早に、これまでの路線を変える政策を打ち出している。いずれもしごくまっとうで、おそらく米国民だけでなく、世界の多くの人々が望んでいた施策だろう。
 私もこれを歓迎しているけれど、よくよく考えてみれば、クリントン政権時代へ戻っただけとも言える。逆に言うと、この8年間のブッシュ政権時代、米国民だけではなく世界中の人が、いかに異様な統治権力の影響下にあったかということだ。本当に呼吸の苦しい時代であった。その意味で、私は今、オバマの変革というより、ブッシュという覆いのない、透明度の高い空と大気を満喫している。私でさえそうなのだから、米国民はさぞかしほっと一息ついていることだろう。

 ボリビアでは、先住民の権利を大幅に拡大し保証する新憲法が、国民投票により可決された。これも素晴らしいことだ。私はベネズエラのチャベス大統領については、必要悪だと自分に言い聞かせつつ、あの強権指向と俗悪なまでのポピュリストぶりがどうしても受け入れられないが、チャベスの盟友であるボリビアのエボ・モラーレス大統領はすごくいいと思っている。この新憲法によって、社会の格差は少しずつ緩和されるだろう。ただ、厳密に注意深く運用しないと、南アのように先住民の新富裕層を生み出すだけになりかねないので、楽観視はできないが。

 そして日本では、二次補正予算が成立。論議の的となった愚策、給付金の配布が決まったということだ。こんなカネは拒否しようかとも思ったが、税金の公平な分配機関として政府が機能していないのだから、自分がその代理を果たすしかないと考えた。つまり、私に給付されたお金を、本来税金の投入が必要な場所へと回すのだ。宵越しの給付金は持たないで寄付しよう。
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by hoshinotjp | 2009-01-27 23:36 | 政治
  ◆右傾化十年◆
 一九九九年の日記に、私は次のような内容のことを書いている。
「一九九九年は日本の右傾化元年だと記憶することにしている。右傾化とは、国歌国旗法や通信傍受法を成立させガイドライン改訂を行うといった出来事だけではなく、自己を何か曖昧で集団的なものに委ねることが本格的に始まった動きを指す。オウム真理教の代わりに、誰もが納得でき言い訳の立つものに帰依しようとしている。そして政治がそれにお墨付きを与える」
 当時の私は、「何か曖昧で集団的なもの」が「日本」であり、ナショナリズムが沸騰して全体主義的な暴走を始めることを危惧していた。
 けれど、右傾化十年目を迎える今の社会を見渡せば、日本社会がいかに壊れているかばかりが目立ち、国に「誇り」を持つどころではない。
 今から思えば、十年前に起こっていたのは、「国権の発揚」だったのだろう。それまでの主権在民を尊重する姿勢をかなぐり捨て、国家が権力をあからさまに振るい始めたのだ。九〇年代の停滞を一気に変えてくれるかもしれないと期待して、小渕政権や小泉政権に帰依した結果、国民は国の経済に奉仕する奴隷と見なされた。「日本」に身を委ねれば委ねるほど、隷属させられ、搾り取られ、使えなくなれば捨てられる。
 この状況を一気に打開してくれるカリスマを求めるような真似はもうやめにして、来年(2009年のこと)こそは自分たちで変える意思を持とうではないか。この十年をさらに悪い形で繰り返さないためにも。
(東京新聞 2008年12月26日付夕刊1面「放射線」)

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by hoshinotjp | 2009-01-24 13:17 | 政治
「フォーサイト」1月号でジャーナリストの河内龍夫氏が指摘しているとおり、私も、麻生首相は天性の「無政府主義者」だと感じている。むろん、真性の無政府主義とは本質的にまったく違う無政府主義であるのは、世の中をいつでも滑る(統べる、ではない)麻生首相ならではだが。
 非正規雇用者の首切りにいち早く対応したのは、各自治体だった。麻生首相のしたことは、それについて「いいことだと思いますよ」と述べたことだ。麻生政権はもはや「連邦政府」の役割も果たしていない。
 河内龍夫氏の記事は「誰か『母方のおじいさんとは時代も違うし、そもそも政治家としての資質が違うでしょう』と言ってやる有為の側近はいないのだろうか」と結ばれているが、麻生首相の学年では「有為」はまだ習っていない熟語ではないだろうか。首相に伝わるか心配である。
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by hoshinotjp | 2008-12-24 15:08 | 政治
「あ、先輩。奇遇ですね。こんなところで何してるんですか?」
「俺はアキバ、大好きなんだよ。漫画も詳しいしな。で、おまえはどうした? 景気の悪い顔してよ。モテないぞ」
「景気、悪いんですよ。だから仕事ないんです」
「あ、そうか。じゃあ飲み行くか」
「先輩はどうせ高いバーとかでしょ。そんな気分じゃないすよ」
「北の家族、なんてどうだ? ほっけの煮付けなんか、うまいぞう」
「ほっけは煮付けにはしませんよ」
「あ、そうか。俺は九州の出だからな」
 ……
「な、案外、うまいだろう?」
「俺にはいつもの味ですけどね」
「しかし、おまえの同期みんな、そんな困ってるのか。こりゃ、みぞうゆうの不景気だな」
「先輩、それ、みぞう、じゃないすか?」
「あ、そうか」
「先輩って、いくら揚げ足取っても怒らないですよね。人間できてるなあ」
「俺は前向きな人間だからな。よし、一肌脱いでやるか。……とりあえず、この金を……」
「すごい、札束じゃないですか!」
「みんなで分けろよ。おまえの代は何人だ? 80人だっけ? だとすると……一人頭12500円ってところか」
「太っ腹だなあ。さすが先輩、普段からこんな現金持ち歩いてるんだ」
「この現金はOB会費だけどよ、あとで俺が、気の毒な後輩たちへのカンパに使ったって言って寄付集めするから、気にしないでどーんと使ってくれ」
「そらあ、まずいんじゃないすか?」
「いいんだって。困ってるやつにはできるだけ早く金が渡ったほうがいいんだよ」
「困ってるやつって、俺とか、さっき言った4人とかは、確かに仕事あぶれてますよ。同期にも他にもいるとは思うけど、80人全員があぶれてるわけじゃないすからね。吉田なんか、親の遺産だけで一生働かないでいいなんてうそぶいて、家事手伝してますからね。困ってないのに、あいつにも分けてやるんですか?」
「あ、そうか、それも何だなあ」
「高給取りのやつもいますし、全員で分けたら、『困っている奴にカンパ』じゃなくなっちゃいますよ」
「じゃあ失業してるやつだけに限る、ってことにしよう」
「それじゃあ吉田も入っちゃいますよ。さっきも言ったけど、小林なんか、失業してないけど、ある意味、俺たちよりひどいですからね。あの薄給で、子ども三人抱えて、親の入院費も出して、しかも単身赴任ですよ」
「わかった。困ってないやつには自主的に遠慮してもらうってことでどうだ? 妙案だろ?」
「先輩は前向きな性格だから、そんなのんきなこと信じられるんでしょうね。ただで金くれるっていうのに、誰も自主的になんか、断りませんよ」
「おまえさ、人生、のんきさも必要だよ。カリカリしてるから苦しくなるんだろ」
「仕事がなくて金がないからですよ!」
「ほら、カリカリしてる。おおらかに構えろよ。そうすりゃあ、運も開けてくるって。よし、俺がそのきっかけを作ってやる。おまえにこの100万円を渡すから、自由に配ってくれ。誰に配るかは、おまえの裁量に任せる」
「えー、冗談じゃないですよ。配らなかったやつから文句言われるの、俺ってことになるじゃないですか。それ以前にこの金、OB会費でしょ? みんなの同意も得ないで、役員でも何でもない俺が勝手に分けちゃうなんて、ヤバいすよ。先輩が決めたんだから、先輩がどうにかしてくださいよ」
「おまえ、今は分権の時代だよ? 一人一人に権限を渡して、それぞれが自力でどうにかするって流れだよ。それが自立ってもんだ。俺も応援はするけど、決めてください、なんて、そこまで甘えちゃあいけないな」
「それ、おかしくないですか? 権限渡すっていうんなら、俺にまず役職くださいよ。それで、俺がお金集める権限までセットでくださいよ。そのうえで使い道も任せる、っていうんならわかるけど、先輩が決められないから俺に任せるって、ただパシリに身代わりになれって言ってるみたいなもんじゃないですか。何が自立だ、お気楽にもほどがある」
「カリカリすんなって。どうも誤解があるようだから、これからもちょくちょく、はんざつに会おう。じゃあ、任せたからな」
「はんざつ、じゃなくて、ひんぱん、ですよ」
「あ、そうか」
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by hoshinotjp | 2008-11-13 16:03 | 政治