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 小学5年で見たモントリオール五輪以来ずっとオリンピック・フリークだったが、近年はどこかに冷ややかな気持ちがある。それでも、テレビをつけて放映していれば延々と見てしまいかねないが、現在は忙しくてそれどころではない。その中でも、サッカー東アジア選手権の日韓戦は見たのだから、今の私にはやはりオリンピックよりサッカーのほうが重要だということだ。結果は無内容の試合で1-3の敗北。
 私がこれまで見てきた日本代表で、最弱のチームだと思う。なぜなら、可能性と意志の強さが皆無に等しいからだ。これ以上何もできないだろうと、見ている者に思わせる、ネガティブで知性のないチームだからだ。オシムが教えた、走ること、考えること、はすっかり忘れてしまったというのか? その両者がじつは不屈の闘志を意味していたことは、オシムのジェフ時代に証明されていた。そしてそれは、ワールドカップに出場するチームならどこも最低限の資格として持ち合わせている条件である。
 やはり、予選突破した時点で、監督交代すべきだった。頭打ちであることは、サッカーファンの目には明らかだった。個人の闘志がもっとも薄い日本に、それを教え込むのは、日本の監督ではまだできない。
 ミルチノヴィッチの名が上がったりしているようだが、私は、シャムスカがよかったと思う。ブッフバルトでもいい、Jリーグが培ってきた外国の監督なら、あと3か月でも何とかなるのではないか。と言うか、何とかならず、監督を交代して失敗しても、今の監督のままでいるのと変わらないのだから、代えたほうがいい。「リスクが大きい」とかではなく、もはや冒せるべきリスクさえ残っていないのが、このチームなのだ。「リスク」を侵すとは、攻めの姿勢で臨むという意味で、現状の代表はリスクが何かもわかっていない。
 むろん、これは岡田監督のみの責任ではない。岡田監督は自分の存在を賭けて、自分にできることを必死に行ったと思うが、たんに力が足りなかっただけだ。より悪いのは、プロとしての責任や自覚や、サッカーをすることへの情熱の足りない選手が、代表にいることだ。それはドイツワールドカップでも証明されていたのに、なぜまた同じことが繰り返されているのか? それがこのチームの知性の低下を招いている。
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 NHK特集「無縁死」を見た。東京新聞では「介護社会」という特集を長らく組んでいて、今連載中の第4部「百万遍の南無阿弥陀仏」が、老母の介護に追いつめられた息子の孤独を描いている。この記事は毎回、心を激しく揺すぶられて、平静な気分では読めない。まるで自分のことのように、胸に痛みを感じる。さらに、ちょうど上野千鶴子『男おひとりさま道』を読み始めたところだった。
 十年ぐらい前に私は、自ら選択したにせよ、やむを得なかったにせよ、これからも一人で生き続けるであろう中年期の男が、どうしたらよりよく老いていけるかを、『毒身』という小説を書きながら考えた。私のまわりに、そのような覚悟を決めようともがいている男たちがたくさんいたからだ(現在では、私を含め、その半数ぐらいは家族を築いたり、誰かと共同生活を営んでいるけれど)。
 そのとき考えた答えの一つは、疑似家族である。独り者の男が集まるだけでなく、いわゆる一般的な家族像から外れた男女子どもたちが集い、緩やかな共同生活を送れる場を思い描いてみたのだ。そのイメージの原型としたのは、メキシコで貧困層が住む地域の共同性である。メキシコ人らは思いきり迷惑をかけ合いながら生きるので、そのような関係性は日本社会では難しいが、それを薄めた、軽い迷惑を少しずつかけ合うような小さな共同体なら可能だし、必要だろうと思ったのだ。もちろん、そのような疑似家族には影の面もあるが、それ以上に、一人で生きるためには、絆やつながりの感覚が欠かせない。
 もう一つ、一人で、特に男が一人で生きるために必要なのは、権力を捨てることである。既得権益層から降りることである。いわゆる「男のプライド」を捨てること、と言い換えてもよい。さもないと、弱い自分を受け入れられず、だから他人にも弱さを見せられず、いかんともしがたい孤独に陥ることになる。疑似家族を築くためにもっとも必要な態度は、男の常識を捨て、人間として責任を取れるようになることである。
 このテーマは、3万人を越え続ける自殺とも密接に関わっている。生活の苦境が、なぜ自殺へ至らねばならないのか。そこには、絆の切断が深く関わっているからだ。
 孤立へとばらばらにされていく傾向が強い世の中にあって、どうしたら、表面的ではない絆を築けるのか。また、その絆を、人生80年以上の時代に、長く維持するには、どうすればよいのか。そのカギはやはり、「権力」と「プライド」をご破算にすることにあるだろう。
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by hoshinotjp | 2010-02-03 06:07 | 社会