2010年 07月 15日
2010年7月15日(木) |
7月10日の日記で書いた、岡村淳さんの「下手に描きたい」。サウダージ・ブックスの淺野卓夫さんが、ブログですばらしい評を書いている。
これを読んで、いきなり思い出したのは、10歳前後のころ、アルファベットの記された乾パンみたいな木片を組み合わせて単語を作る遊びに熱中したことだ。そのころ、私の父親は病気がちで、しょっちゅう入院していた。母親はその看病に忙しく、私が帰宅しても不在であることも多く、それを心配したのか、私は同じマンションでごく小さな英語教室を開いている、アメリカ帰りの年配の女性のもとに、友だちとともに週一で通わされていた。そこには、アメリカで生まれた私に英語を覚えさせておこうという意図もあったと思う。
だが、英語の勉強は退屈で、すぐに飽きてしまった。それで先生は、クロスワードパズルを積み木にしたような、アルファベットの木片を組み合わせて英単語を作るおもちゃを持ち出したのだ。
私はハマった。いつもその遊びばかりをしたがった。おかげでちっとも英語は覚えられなかったが。
2歳半でアメリカから帰ってきたころ、私は日本語の文章に英単語をところどころ交ぜてしゃべっていたという(赤ん坊の荒川修作かよ?)。両親は日本語ネイティブなので、テレビや近所の子といった環境の影響で覚えたのだろう。まあ、gunとかmoonとか、その程度だけど。それで、1歳上のいとこを途方に暮れさせていたという。
何しろ記憶がないので、事実かどうか、確かめようがない。あくまでも親の記憶にすぎず、40数年の前のことだから、それも物語化されていることだろう。
ただ、そのような思い出を聞かされた小学生の私は、不安に陥った。私には決定的な欠落があると、漠然と感じていた。アメリカ生まれ、ということを、ないことにしたい気持ちがあった。
まあ、こう書いていること自体、物語化にすぎないとも言える。今の私との因果など、わかりようもない。
ともかく、「下手に描きたい」を見てから、何のスイッチが入ったのか、自分の忘れていた幼少期の感覚が次から次へとよみがえる。しかも、淺野さんの文章からさらに喚起されてしまうことの不思議さ。一体、何が起こっているのだろう?
16日(金)は、岡村淳さんフェスティバルの千秋楽である。まずは押さえたい3強、「郷愁は夢の中で」「ブラジルの土に生きて」「あもーる・あもれいら 1&2」で幕を閉じる。横浜のシネマ「ジャック&ベティ」へ急ぐべし。
ちなみに、14日に岡村さん2時間一人語りを聞きに行き、飲み会にも行き、どうしたら豊かに生きられるのか、またひとつ、人生で大切な姿勢を教わった。
これを読んで、いきなり思い出したのは、10歳前後のころ、アルファベットの記された乾パンみたいな木片を組み合わせて単語を作る遊びに熱中したことだ。そのころ、私の父親は病気がちで、しょっちゅう入院していた。母親はその看病に忙しく、私が帰宅しても不在であることも多く、それを心配したのか、私は同じマンションでごく小さな英語教室を開いている、アメリカ帰りの年配の女性のもとに、友だちとともに週一で通わされていた。そこには、アメリカで生まれた私に英語を覚えさせておこうという意図もあったと思う。
だが、英語の勉強は退屈で、すぐに飽きてしまった。それで先生は、クロスワードパズルを積み木にしたような、アルファベットの木片を組み合わせて英単語を作るおもちゃを持ち出したのだ。
私はハマった。いつもその遊びばかりをしたがった。おかげでちっとも英語は覚えられなかったが。
2歳半でアメリカから帰ってきたころ、私は日本語の文章に英単語をところどころ交ぜてしゃべっていたという(赤ん坊の荒川修作かよ?)。両親は日本語ネイティブなので、テレビや近所の子といった環境の影響で覚えたのだろう。まあ、gunとかmoonとか、その程度だけど。それで、1歳上のいとこを途方に暮れさせていたという。
何しろ記憶がないので、事実かどうか、確かめようがない。あくまでも親の記憶にすぎず、40数年の前のことだから、それも物語化されていることだろう。
ただ、そのような思い出を聞かされた小学生の私は、不安に陥った。私には決定的な欠落があると、漠然と感じていた。アメリカ生まれ、ということを、ないことにしたい気持ちがあった。
まあ、こう書いていること自体、物語化にすぎないとも言える。今の私との因果など、わかりようもない。
ともかく、「下手に描きたい」を見てから、何のスイッチが入ったのか、自分の忘れていた幼少期の感覚が次から次へとよみがえる。しかも、淺野さんの文章からさらに喚起されてしまうことの不思議さ。一体、何が起こっているのだろう?
16日(金)は、岡村淳さんフェスティバルの千秋楽である。まずは押さえたい3強、「郷愁は夢の中で」「ブラジルの土に生きて」「あもーる・あもれいら 1&2」で幕を閉じる。横浜のシネマ「ジャック&ベティ」へ急ぐべし。
ちなみに、14日に岡村さん2時間一人語りを聞きに行き、飲み会にも行き、どうしたら豊かに生きられるのか、またひとつ、人生で大切な姿勢を教わった。
by hoshinotjp
| 2010-07-15 23:51
| 映画