2007年3月8日(木)

 行きつけの美容室には、「マジカル・アイ」シリーズが置いてあり、順番を待つ間、それを眺めている。2つ並んだ同じ画像を、目の焦点を遠くして眺めているうちに突如立体的に見えてくるというあれだ。遠くを見るのと同じなので視力が回復する、という謳い文句に乗せられていることもあるが、いつまで見ていても飽きない。子どものころ、おまけなどでよくあったステレオ写真(表面がギザギザになっているやつ)を思い出す。
 小説を書いているときにも、あれを見ているのと同じことが起こる。それまで何をどう書いていいのかわからず、べったりと平面的な気持ちだったのに、しばらくぼんやりとその小説のことを考えたりプリントアウトを眺めていたりすると、突如焦点が合って、全体像から細部までが一気に見渡せ、立体的な気分でどんどん書き進むのだ。
 焦点がいつもすぐに合えば問題はないのだけど、その境地に至るまでに時間がかかる。2日ぐらいその作品から離れると、焦点を回復するまでに2日ぐらいかかる。つまり、漫然とするのに中一日が必要というわけだ。だから、どこかでカンヅメになったりすると、わずか3日とかでもものすごく書き進んだりする。寝ても覚めても焦点が合いっぱなし、あの立体的な画像の中に住んでいるようなものだから。
 そういう時間が一番愉しい。高揚する。何ものにも替えがたい。
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by hoshinotjp | 2007-03-08 23:06 | 文学