2009年 02月 15日 ( 1 )

 久保田早紀の「上海ノスタルジー」という歌の冒頭は、
「小雨をさけて停まる バスへの安ホテル」
だと思っていた。雨を避けて停まるバス、なんて、やわなバスだなあ、と20年ぐらい思っていた。
 ところが先日、この歌を聴いたら、
「小雨をさけて泊まる 場末の安ホテル」
と聞こえてくるではないか。何ということだ!

『水族』の絵を描いてくださった小野田維さんと、「美術の窓」という雑誌で対談した(今月25日発売)。対談が終わってから、小野田さんが、「美術の窓」で行った石田徹也の特集がよかった、というようなことを話題にされ、その特集号を私もいただいた。
 石田徹也という画家を私は知らなかった。けれど、「美術の窓」編集部で目にしたとたん、引きずり込まれた。本当にその絵がブラックホールのようになっていて、私は呑み込まれて、どこにいるのかわからなくなるような体験だった。
 その特集で石田徹也の絵を追い、丹念に取材されたその生涯を読み、私は動揺した。自分みたいだと思った。この画家の作品の虜になる人は、一様に、「自分みたいだ」という反応を示すらしい。2005年に31歳にして夭逝してから、その絵がにわかに注目され始めた石田徹也。その絵のあまりの暗さと、途方もない空想力と、根拠がないゆえに爆発的なエネルギーを秘めたユーモア。私は勝手に、この画家を仮想読者に加えようと思っている。
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by hoshinotjp | 2009-02-15 00:04 | 身辺雑記